「伝える―災害の記憶」展(京都文化博物館)の図録を製作しました

京都市中京区の京都文化博物館で、2021年3月20日から5月16日まで、「伝える―災害の記憶 あいおいニッセイ同和損保所蔵災害資料」展が開かれています。

この「あいおいニッセイ同和損保所蔵災害資料」は、本展のWebサイトによると、大正後期から戦前期にかけ、同和火災海上保険の廣瀬鉞太郎氏が収集した1400点あまりの資料群で、18世紀から20世紀初頭に日本全国で発生した各種災害(地震、火災、台風、落雷、津波、噴火、伝染病など)をほぼ網羅しているとのこと。

展覧会にあたっては、『京都の災害をめぐる』執筆者の、加納靖之・大邑潤三のお二人を中心に、京都大学古地震研究会が全面的に協力し、加納さん・大邑さんは作品解説と論考を、山村紀香さん、濱野未来さんが作品解説とコラムを寄せています。

この展覧会図録を小さ子社で製作しました。

伝える―災害の記憶 図録書影

180度開く製本を示した写真
180度開く製本

横長のものや大きい資料が多いので、見開きで図版がよく見えるよう、展覧会を企画した京都文化博物館の学芸員有賀茜さんの発案により、なかみが180度開くコデックス装という製本方式にしています。

カバーをめくった写真
カバーをめくったところ

また、表紙のイメージとしては、災害のセンセーショナルな部分をあまり打ち出さないという方針をふまえて、表紙に天地の短いカバー(オビ?)をかけることで、けむりの部分だけが見えているようにしました(デザインは鷺草デザイン事務所 中島佳那子さん)。この表紙の図は、安政江戸地震(1855年)の様子を歌川貞秀が写実的に描いた逸品です。

図録の目次

総論 「同和火災コレクション」その由来について(反町光太郎・おいおいニッセイ同和損害保険広報部顧問)

【図版】
第1章 京都・大坂の災害史
第2章 江戸の災厄と絵画
第3章 諸国の災害と復興
第4章 近代の災害とメディア
第5章 疫病との向き合い方

図録掲載作品関連災害地図・年表

【論考】
地震の歴史をまなび伝える―同和火災コレクションと歴史地震研究の交流―(加納靖之)

コラム1 濃尾地震から一三〇年を迎えて(山村紀香)

同和火災コレクション成立の背景とその来歴(大邑潤三)

絵画資料にみる記録と記憶―災害を伝えること(有賀 茜)

コラム2 鯰をめぐる地震観の形成(濱野未来)

作品解説
もっと学びたい方のために
出品目録
英文出品目録

ぜひ展覧会会場へ

図録のことをいろいろ書きましたが、ぜひ展覧会をご覧いただければと思います。概要は京都文化博物館Webサイトをご覧ください。

https://www.bunpaku.or.jp/exhi_shibun_post/saigainokiokuten/

期間中展示替えがあります。

「災害をどう伝えてきたか」を伝えるのに格好のこの資料、資料を活用した楽しいイベントも、会期中にいろいろ企画されている由、漏れ聞いています。詳細決まればまたご案内します。

図録は、京都文化博物館1Fミュージアムショップ便利堂で発売中です。税込2,000円。遠方など、会場に行けない方には、会期中は京都文化博物館で通販を行うとのことです。京都文化博物館までお問い合わせ下さい。会期終了後は便利堂さんで通販受付されるそうです。

来年(2022年)3月11日からは山梨県立博物館にも巡回、その先もまたあるやに聞いています。

ミュージアムショップの様子
ミュージアムショップの様子