戦後日本の文化運動と歴史叙述書影
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戦後日本の文化運動と歴史叙述

地域のなかの国民的歴史学運動

高田雅士 著
定価:本体4,800円(税別)
在庫あり
A5判・上製本
292ページ
初版発行年月2022年1月15日
ISBN:9784909782120
電子版あり
電子版ISBN: 9784909782328
電子版配信開始日: 2022年2月15日
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■関連動画■

  • 発刊記念トークイベント

■紹介・書評■

  • 【書評】成田龍一氏(『歴史評論』877号、2023年5月号)

  • 【書評】中村元氏(『日本歴史』900、2023年5月)

  • 【書評】河西秀哉氏(『年報近現代史研究』15、2023年5月)

  • 【書評】鈴木健吾氏(『史学雑誌』132編4号、2023年4月)

  • 【紹介】河合美喜夫氏(『歴史地理教育』953、2023年4月)

  • 【書評】2022年8月の書評会をふまえた諸論考〈書評を通して考える〉 「国民的歴史学運動」論の切実さとは何か?(大串潤児) 「国民的歴史学運動研究の課題と展望」(高田雅士) 「国民的歴史学運動からの問いを考える」(原田敬一) (『部落問題研究』244、2023年2月)

  • 【書評】安岡健一氏(『北陸史学』71号、2023年1月)

  • 【紹介】佐藤明俊氏(#図書館員の気になる一冊、奈良県立図書情報館【公式】note、2022年12月1日)
     noteへのリンク

  • 【紹介】長谷川達朗氏(『アジア民衆史研究会会報』51号、2022年10月25日)

  • 【紹介】長谷川達朗氏(『アジア民衆史研究会会報』51、2022年10月)

  • 【紹介】小野寺拓也氏(ブログ「小野寺拓也の研究室」2022年8月5日)
     ブログへのリンク

  • 【紹介】長崎健吾氏(「2022年上半期の収穫から」『週刊読書人』3449号、2022年7月22日)

  • 【書評】山本和重氏(『図書新聞』3543号、2022年5月21日)


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■内容紹介■

 

「国民的歴史学運動」は忌まわしき過去の悪夢なのか?
地域に生きる人びとの側から、具体的な運動のありようを明らかにし、そこで生み出された歴史叙述から戦後日本史像を問い直す――。

敗戦直後に歴史研究者の石母田正が、民衆自身の手で「村の歴史・工場の歴史」を主体的に書いていくことを呼びかけはじまった「国民的歴史学運動」。1950年代に入って歴史学界を中心に大きな盛り上がりをみせたが、1955年の日本共産党の政治方針・文化政策の方向転換をきっかけに運動は「挫折」し、「傷痕として封印」されたとされる。今では、歴史学が政治に従属した悪しきエピソードとしてわずかばかり言及されるのが一般的である。
本書は、地域に生きる人びとが主体的な歴史意識を形成していくうえで、国民的歴史学運動の経験はどのような意味を持ったのかを明らかにする。京都府南部や奈良を主たるフィールドに、地域に残された新資料を掘り起こし、聞き取りなどの手法も駆使して探究。さらに、人びとの「その後」のあゆみにも目を向け、地域社会の変容と関わらせながら、彼らがどのように新たな運動に取り組んでいったのかをとりあげることで、国民的歴史学運動の有した意義をあらためて地域や人びとの側からとらえ返す。

■目次■

 

序 章 問題の所在と本書の視角


第一節 研究史における本書の位置づけ


(1)一九五〇年代の文化運動に関する先行研究


(2)国民的歴史学運動はどのように語られてきたのか


第二節 本書の視角と分析の方法


第三節 本書の構成


第一章 地方における国民的歴史学運動の展開 ―民主主義科学者協会地方支部の動向から


第一節 民科の全国的展開と歴史部会の取り組み


(1)民科地方支部の設立過程


(2)民科歴史部会と『歴史評論』


第二節 国民的歴史学運動の地域的展開


(1)国民的歴史学運動の進展と地方支部への波及


(2)民科地方支部による地域へのアプローチ


第三節 人びとにとっての国民的歴史学運動経験


(1)労働者による国民的歴史学運動―民科大阪支部歴史部会の経験から


(2)国民的歴史学運動の終焉


小括


第二章 地方における国民的歴史学運動指導者の実践 


第一節 奈良における戦後文化運動の出発―奥田修三の戦時・戦後経験


(1)戦時経験


(2)敗戦から文化運動へ


第二節 民科奈良支部歴史部会による国民的歴史学運動


(1)民科奈良支部歴史部会の結成と初期の活動


(2)紙芝居「土の唄」作成の経緯


第三節 人びとの主体の「発見」


(1)「「母の歴史」を書こう」という提唱


(2)民科奈良支部による運動の終焉


第四節 国民的歴史学運動の「深層部分」への接近


小括


第三章 地域青年層の戦後意識と国民的歴史学運動 ―城南郷土史研究会を対象として


第一節 一九五〇年代前半の上狛町政と地域青年団運動


(1)上狛町政の動揺から再建へ


(2)地域青年層の戦後意識


第二節 城南郷土史研究会の結成


(1)中津川保一と敬朗


(2)地域の歴史との出会い


(3)研究会の結成へ


第三節 地域の歴史を書く担い手への成長


(1)研究テーマの拡張


(2)南山城水害・台風一三号災害への取り組みと民科京都支部への違和感


(3)「共同研究 山城国一揆」の完成から一度目の休会へ


小括


第四章 地域における歴史叙述 ―一九五三年の南山城水害・台風一三号災害をめぐって


第一節 一九五〇年代の南山城地域


第二節 城南郷土史研究会による水害調査と報告書の作成


第三節 大西康允による『南山城水害誌』の作成


(1)大西康允の経歴と『南山城水害誌』


(2)『南山城水害誌』完成までの道程 133


小括


第五章 国民的歴史学運動から歴史教育へ ―加藤文三の運動経験と教育実践を対象として


第一節 マルクス主義歴史研究者たちとの出会い


第二節 国民的歴史学運動のなかへ


第三節 教師としての「青春時代」―二砂中への赴任


第四節 教育をめぐる環境の変化


第五節 運動の回顧へ


小括


第六章 国民的歴史学運動のゆくえ ―地域における運動の継承と変容


第一節 ポスト高度成長期の地域における歴史をめぐる運動


(1)住民運動をとおした歴史学習と人びとの自己変革


(2)歴史教育の立場からの国民的歴史学運動再評価


第二節 城南郷土史研究会の再出発


(1)第二期の概要


(2)座談会「文化財保護の運動をどうすすめるか」の開催


第三節 山城国一揆五〇〇年をめぐる取り組み


(1)大型開発の進展と歴史学習運動


(2)山城国一揆五〇〇年に際して開催された集会


小括


終 章 総括と展望


第一節 国民的歴史学運動の評価をめぐって


第二節 戦後日本の文化運動と歴史叙述